2011-08-18

「人喰いの民俗学」礫川全次

人喰いの民俗学 (歴史民俗学資料叢書)人喰いの民俗学 (歴史民俗学資料叢書)
礫川 全次

批評社 1997-01
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縄文人は人喰い人種か? モースは1877年大森貝塚を発掘し、そこに食尽の痕跡を発見した。この「衝撃」はその後の日本の人類学・考古学・歴史学の方向を決定した。ある者はモースの発見を否定し、ある者は「例外的」事例として黙殺した。そして大多数の者は縄文人を「日本人」に非ざる「先住民族」と位置づけたのである。


Wikipediaの「カニバリズム」の項目で、
参考文献として出ていたので知った本。
読みたいけど7000円近くするのであきらめていました。
なんと、金沢市玉川図書館の書庫にありました!ばんざい!

内容は予想と違い、著者の方の解説はほんの少しで、
戦前の論文等をまとめたもの。
しかも当時の本をスキャンして、そのまま載せています。
なので旧字体のものばかり。読みづらいです。

しかしそれでも興味深い記述がいっぱい。

日本人をはじめ、アイヌなどの先住民族も、
大昔は人を弔うためにその死者の肉を食べたとか
中国は人食いが盛んでさまざまな料理法があったとか
中国では、戦争するとライバルを殺したらその臓物を食べたとか。
特に中国の記述が多かったです。

あまりグロテスクな描写はなく、淡々とした論文が多い。
そういう意味では読みやすいです。

石川県民として驚かされたのは、
能登にある「気多大社」の記述が出てきたこと。
かつては人を生贄として捧げ、その肉を食べていたそうですが、
鵜と人の肉の味は似ているということで、
鵜を捧げるようになったそうで。
この「鵜祭り」、今も行われていますが、
まさかまさか、こんな由来があったとは…
(ただの俗説かもしれませんが…)



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