2013-01-17

エログロ・ナンセンスな冒険活劇・谷弘兒の世界

私、昔からマンガが好きで、
いろいろと節操なく読んできました。

大学時代には、マニアックなもの、
いわゆるひとつの「ガロ系」にはまり、
大枚をはたいたものです。

そんな本の数々は、
いまでも無性に読み直したくなることがあります。

で、先日読み返したのが、こちら。





「薔薇と拳銃」。
谷弘兒(たに・ひろじ)、著。
1冊完結の単行本(巻末に短編も併録)。


この谷先生は、とにかく単行本のリリースが少ない。
70年代には、ガロに不定期に連載していたようです。
決して評価されているとはいえないかもしれませんが、
不思議な魅力をもつマンガを生み出しています。

何がいいって、絵柄。

どうですか、この書き込み具合。

特徴的でありながら、でもやっぱり一般受けしなさそうな。
シンプルの対局にあるような。


また、物語も、実にヘン。

私立探偵「陰溝蝿兒」(かげみぞ・ようじ)を主人公に、
彼の活躍を描いたお話。
基本的に、冒険活劇モノですが、
登場人物がほぼ変態。
主人公ですら、殺人狂。

そして探偵の敵となる存在も、荒唐無稽。
SFか!といいたくなるような。
設定がかなり空想的で、異空間。

しかしそれでも、なぜかおもしろい。
というか、話に勢いがすごくあり、
過度に暗くならず、あくまでも「冒険活劇」になっています。


薔薇と拳銃薔薇と拳銃
谷 弘児

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残念ながら、絶版。
しかし、中古なら入手できます。
そこまで「カルト」な存在になっていないため、
割とお手頃価格で入手できるかも。





また谷先生は、活動初期、
自身が生み出したキャラクターと同じ名前
陰溝蝿兒」をペンネームとして使っています。
こちらの作品集も実に味わい深い。

こちらも、同じく探偵モノ。
というか主人公の名前が同じ。
キャラ設定や外見は違いますが。

絵が、よりすごいことに。



コレ。

通常、マンガのコマをとるときは
線が一般的ですが、まさかのツタ状。
何がなんだか分からないことに。
しかも星も飛んでるし。

物語の勢いや猟奇性は「薔薇と拳銃」に劣るものの、
相変わらずの登場人物の変態っぷりが楽しめます。



谷先生の著作では、こちらがAmazonでも入手できます。
快傑蜃気楼(ミラージュ)快傑蜃気楼(ミラージュ)
谷 弘児

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ちょうど「薔薇と拳銃」の直前に書かれた作品。
舞台はほぼ同じ、登場人物も少し重複します。





谷先生、いったいいまは何をしているか調べたら
現在、横浜のホテルでゴミ処理の仕事に従事。
って…

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