2013-02-26

「雪国」川端康成



雪国 (新潮文庫 (か-1-1))雪国 (新潮文庫 (か-1-1))
川端 康成

新潮社  2006-05
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最近、気に入る小説の著者が
ノーベル賞の受賞作家ばかりであることに気づきまして。
ガルシア・マルケスとかゴールディングとか。


で、日本のノーベル賞作家も読んでみようと思い
手にとったのがコレ。

頑なに無為徒食に生きて来た主人公島村は、半年ぶりに雪深い温泉町を訪ね、芸者になった駒子と再会し、「悲しいほど美しい声」の葉子と出会う。人の世の哀しさと美しさを描いて日本近代小説屈指の名作に数えられる、川端康成の代表作。


書き出しがとにかく有名ですが
そういえばちゃんと読んだことがなかったな、と。
でもなんで教科書に載ってないんだろう、
そう思って読んでみたら。

これは教科書みたいなものに載せられない、
想像以上にセクシュアルな話でびっくり。
直接的な表現は載っていないとはいえ、
男女間(しかも愛人)の、肉体抜きの恋愛。

それを驚くほど流麗な文体で彩っています。

主人公は妻子があり、旅先で知り合った芸者と
恋愛関係のような、愛人関係のような、
惹かれ合いつつも交わらない関係となります。

ですので現代の舞台で置き換えると
不倫、または浮気、ということに。

それでも小説全体がいやらしくないのは、
その文体が実に見事で、
まさにタイトルである「雪国」のさまが
生き生きと描写されているから、だと感じました。

そしてその描かれている世界が
日本の原風景、美しき日本。
これは確かに海外で称賛される。


中編程度の長さですが、
ラストの唐突感が実にすばらしく、
そこに度肝を抜かれました。そう終わらすか。


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