2013-02-27

江戸がマンガでよみがえる 杉浦日向子

じぶんが好きな漫画家を
何人か挙げるとしたら、
必ず入れたい方。

好きすぎて、娘が生まれたら「日向子」にしようと思っていました。
(けっきょくやめちゃいましたが…)

若くして亡くなっていますが、
NHKのコメディー「お江戸でござる」の
コメンテーターだった方、といえば
分かる方も少なくないでしょう。

文筆家としても知られていますが、
そもそものデビューはマンガ。

健康状態の悪化により、デビューから10数年で
断筆してしまいますが、
その期間に描いたマンガが、どれもすばらしい。
唯一無二の世界です。




デビュー作「二つ枕」は、まるで浮世絵。




それをマンガにされた日には。



話に、目立った展開や盛り上がりがないけれど、
とにかく絵柄に圧倒されます。






絵は、時代とともに変化して、
個人的には「百日紅」(さるすべり)という作品のころが
絵柄も話も一番好み。




味がある、とは、こういうことをいうのだと思います。

そしてこの「百日紅」も、実に淡々とした話が続きます。
葛飾北斎とその娘お栄、そしてのちの渓斎英泉
この3人を軸に展開する物語。

通常物語とは、解決すべきカタルシスがあるものだと思います。
分かりやすい例だと、「敵を倒す」。
このマンガは、そういったカタルシスが、ほぼ、ない。
それなのに、おもしろい。
展開がゆるいのに、その空気感に魅入られる。



ただいわゆる分かりやすいマンガを
求める人には、向きません。
いわゆる「ガロ系」がいけるなら、これもいける。
そもそものデビューはガロだし。








二つ枕 (ちくま文庫)二つ枕 (ちくま文庫)
杉浦 日向子

筑摩書房  1997-12
売り上げランキング : 34251

Amazonで詳しく見る by G-Tools



百日紅 (上) (ちくま文庫)百日紅 (上) (ちくま文庫)
杉浦 日向子

筑摩書房  1996-12
売り上げランキング : 6895

Amazonで詳しく見る by G-Tools



百日紅 (下) (ちくま文庫)百日紅 (下) (ちくま文庫)
杉浦 日向子

筑摩書房  1996-12
売り上げランキング : 12909

Amazonで詳しく見る by G-Tools


文庫がリーズナブルかつかさばらないのでおすすめ。

ほんとにはまったなら、全集ですな。
杉浦日向子全集 全8巻セット杉浦日向子全集 全8巻セット
杉浦 日向子

筑摩書房  1996-04-25
売り上げランキング : 1052789

Amazonで詳しく見る by G-Tools

このブログを検索