2014-12-06

公共建築-設計の核心 工藤和美・妹島和世・水野一郎

少し前になりますが
金沢海みらい図書館で開かれた講演会に行ってきました。

海みらいの設計者、工藤和美さん。
21世紀美術館の設計チーム「SANAA」の妹島和世さん。
金沢市民芸術村を設計した水野一郎さん。

これら3名の方それぞれの公園と鼎談。
皆さん手がけた建築物の話。
特に金沢のもの中心。
非常に有意義な講演会でした。

ぐっと来たコメントを列記しました。

■工藤和美さん
海みらい図書館について
海みらい図書館の建物のコンセプトは「おいしいケーキを包む箱」。
開けたら感動する、そんなわくわく感を出したかった。柱はローソクに見立てて。

冬の積雪も考慮してシンプルな形にした。
こうすることでコストダウンも図れる。

敷地は住宅地に中にあるので、
近隣の方が圧迫感を感じないよう
芝生の広場を設置するなどして住宅と建物を離した。

壁の窓の空け方は、幾度となくシミュレーションして、
せんだいメディアテーク内にある大ディスプレイで実際に表示させた。

3階建てだが超高層ビルをつくるようにつくった。
構造体は壁に入っており、柱は屋根を支えるだけ。

窓は6067個あり、3種類ある。
同じものが並んでいるわけではなく、ランダムに配置している。

たくさんの本に包まれてほしいから
書架は7段とかなり高め。

書架は壁とくっつけず、
壁にはカウンターを設けた。

公共建築について
公共建築の約40%(延べ床面積計算)が、小中学校。

公共建築は「中が見える」ことが大切。

設計した中学校が、建て替え前は荒れていたが
それが変わったという声も聞いた。
空間が人に及ぼす影響力は大きい。



■妹島和世さん
建築家になった当初から、
「公園のような建物をつくりたい」と言っていた。
それを実現できたのが金沢21世紀美術館。

21美のコンペでは、「美術館と交流館」を提案するとの
要項だったが、それをひとつにまとめた。
「正面」と「裏」をなくし、どこからでも入れるように。

この経験で、「人が集まれる場所が建築にとって大切」
と自覚できた。これが自分の中で大きなテーマとなっている。

公共空間は、いろんな人がいて、違う人を
尊重し合える場所。
海みらい図書館のコンペの審査員をしたが
工藤さんの提案はそれをみんなが実感できる内容だった。

21美は威圧感が出ないよう天井を低くした。

公共建築にとって「使う」ことがいかに創造的か、
実感させられたのは日比野克彦さんの朝顔プロジェクト。
美術館をどう使うべきか、を見させられた。

公共建築ができるのは、人とのつながりを感じること。






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